カテゴリー「本」の記事

『ルポ 児童相談所 』

10月20日(土)

Photo_3 大久保真紀 著、朝日新聞出版 (2018/5/11)

【内容】朝日新聞デジタル連載「児相の現場から」を書籍化。
朝日新聞取材班が西日本のある児童相談所で活動する児童福祉司たちに1カ月にわたり密着し、 虐待対応の最前線を追った。
親から赤ちゃんを一時保護する様子など、「虐待保護」の現場を描く。

pencil 今日が返却期限日なので、慌ててメモsweat01

*子どもを保護しに行く児相の職員が親から包丁を向けられたり、大声でいつまでも何度も怒鳴りつけられたりして、それも夜や休日の緊急出勤がザラで、労働条件最悪だわ。

*虐待が子どもの人生に与える影響は大きく、少年院在院者の7割以上が被虐待児。凶悪事件の加害者が虐待を受けた経験があることも多い。
*心を病む人もいる。精神疾患・自殺・学力低下などの結果、生涯収入の減収や生活保護の受給・医療費なども発生。社会的損失は年間1兆5千億円にのぼると試算されている。
*日本が児童相談所や児童養護施設などにかけている費用は、年に役1千億円。ずば抜けて低い。

*児相が対応した虐待相談件数は10年間で3.3倍に増えたが、児童福祉司の配置は1.4倍にしかなっていない。
*一時保護しなかったために子どもが虐待死するケースを防ぐために、職権による一時保護を積極的に進めることが増えている。
*被虐待児は自己肯定感や自己評価が低いのが特徴。愛着障害も、問題。

*あざができるほど顔面を殴ることが続いたケースでは、父親は「ちょっと元気で困っている。(殴るのは)しつけだから」と。

*児童養護施設で起きる子どもの間での性加害・性被害は、施設内で連鎖することも多い。加害者の殆どは、被害者だったと言われる。自分より弱い子どもを支配する行動。

*予防には、施設の小規模化や里親委託を進め、大人の目を増やすことが有効。加害者の性被害性に対応していかないと、連鎖する。

*自治体の担当部署との連携が欠かせないが、担当者は2~3年で異動することが多く、常に研修をする必要がある。

*ケースの危険度は上がったり下がったりするので、定期的なリスク管理が必要。

◎福岡市の児相取材
弁護士を常勤にして成功。保護者との激しい遣り取りの際に、職員に不安やためらいが起きる。そういう時に法的に判断が正しいかどうかの助言・判断が有効。勤務することで、日ごろからケースを把握できるし、常勤であることですぐに職員が相談できる。法律を冷静に説明し、親権者や保護者に振り回されなくなった。

児童家庭支援センターが5~8時の夜間・土日祝日の受付をするため、児相での超勤がなくなって継続勤務が増えた。対応の速度も上がる。「泣き声通告」確認の仕事は、NPO法人に委託している flair

*子どもの最善の利益・権利保障をベースに。通学や地域社会とのつながりを断ち切らないようにしていけたらいい。

◎高知県知事の取材
*警察の職員にも常駐してもらい、「違う視点で意見をもらって有効」という意見もある。
*子ども食堂を増やしたい。食事ができて食育にもなる場所。話を聞いてもらったり勉強も教えてもらったりで、つながりができる。見守りの場でもある。公的機関の対応だけだと不十分。民生委員・児童委員に併せて広がっていけば、有意義。

*里親委託で、乳幼児の発育が著しく違ってくる。

絵本『みえるとか みえないとか』

Photoヨシタケ シンスケ・伊藤 亜紗、アリス館 (2018/7/12)

週刊誌の書評を読んで、買いました。
素晴らしい内容!もちろん、絵もステキ lovely

伊藤亜紗著『目の見えない人は世界をどう見ているのか』の絵本版をヨシタケさんが描いた。伊藤さんに相談しながら。

【内容】 宇宙飛行士「ぼく」が三つ目をもった生き物が住む星に降り立つ。目が二つしか無い「ぼく」を
「うしろがみえないの?」「かわいそう」「せなかのはなしはしないであげよう」と気遣い、「ちゃんとあるいてる!」と驚く coldsweats01
この星には、後ろの目が見えないひともいて、話が合う。そして、全部の目が見えない人もいる。
他に、脚の長いひとの星、空を飛べるひとの星、身体が柔らかいひとの星、口が長いひとの星も紹介されて…
「どんなひととでも、だよねー!っていっしょに いえる」ことがあり、「おなじところを さがしながら、ちがうところを おたがいに おもしろがれば いいんだね」shine

『私たちの新フェミニズム』

Photo 東京新聞の望月衣塑子さんと様々な分野の4人の女性たちとの対談。梨の木舎 (2018/9/10)

中味が濃くて、付箋だらけ。
とてもここにメモしきれずcoldsweats01

【内容】

◎本名を出し素顔を出して性暴力を訴えた伊藤詩織さんと
ーー権力と一体化した日本のメディア、加害者を擁護し被害者をバッシングする日本の社会について、性暴力をなくすために何をすべきかを議論。

◎上智大学政治学教授の三浦まりさんと
ーー日本がしてこなかった最たるものは、ジェンダー平等に手をつけなかったことで、ジェンダーギャップ指数114位を返上するためにまず女性議員を増やそうと、そのための具体策を提案。

◎授業で「慰安婦」問題を教え続ける、大阪の中学校教師平井美津子さんと
ーーそれは過去のことではなく、女性差別につながる現在の人権問題であり、沖縄など基地の街の女性への暴力などまさに同じ根っこを持つと語り合う。

◎新外交イニシアティブ(ND)代表で弁護士の猿田佐世さんと
ーー自発的対米従属の現状を変えるためにどうするかを議論する。日本のリベラル陣営が、日本のオールタナティブを発信することが必要だ!
※オールタナティブ:既存のものに代わるもの、慣習にとらわれないもの、代案。

『AI VS.教科書が読めない子どもたち』

9月21日(金)

Ai 書評で見て、関心があった本。地域の男女共同参画センターで借りて読んだ。

新井紀子著、東洋経済新報社、2018年2月15日発行

読み応えたっぷり。メモ書きするのも、時間がかかるわ coldsweats01

◎今の数学では、AI (コンピューター)は、計算機。基本的には四則演算しかできない。意味を理解できるのではなく、「あたかも意味を理解しているようなふり」をしている。 万個教えられてようやく一を学ぶ、応用が利かない、柔軟性がないことが弱点。決められた枠組みの計算処理しかできない。

◎ディープラーニングのような統計的なシステムでは、データに基づき過去のデータを分析して判断しているに過ぎない。過去の判断を踏襲するだけ。社会が歪んでいれば、その歪みを増幅してしまう(数学者に女性が少なければ、女性高校生に「数学者」という選択肢を推薦しない)

◎シンギュラリティ(人間の力を借りずに、自律的に、自分自身よりも能力の高いAIを作り出すことができるようになった地点)は、今の数学では不可能。

◎ホワイトカラーが担っている仕事の多くは、AIが肩代わりできる社会の到来を前に、AIが苦手とすることをやればいい。それは、柔軟に、人間らしく、意味を考えること。

◎AI開発の際に、協力してくれる中高校で25,000人を調査した結果、生徒の読解力が危機的なことが判明した。 授業も問題文も理解できない、普通免許や調理師などの国家試験が受からない、就職しても、安全マニュアルや仕様書が読めないケースが多くなっている。 今や、格差は高卒・大卒か、名のある大学を出たかではなく、教科書を読めるかどうか。 中学校を卒業するまでに、教科書を読めるようにすることが、緊急課題。読解能力と意欲さえあれば、大抵のことは自分で勉強できる。

◎大学受験をする子の上位20%の得点をとるところまで、ロボットは発達していきている。 超有名私立中高一貫校では、12歳の段階で読解能力のある生徒を入試で選んでいる。この子たちの指導は楽。教科書や問題集を「読めばわかる」から。

*中学校を卒業する段階で、約3割が表層的な読解もできない。半数以上がサイコロ並の正解率。
*学力中位の高校でも、半数以上が内容理解を要する読解はできない
*読解能力値は中学の間は向上するが、高校では向上しない
*通塾の有無と読書の好き嫌いは、読解能力値と無関係
*読解力をつけないまま、ドリルと暗記だけで偏差値50を超える大学に入学できる

◎著者は、この本の印税を原資として、中学生全員が教科書を読めるようにするための計画がある。

『日本政治の第一歩』

Photo 上神 貴佳 (岡山大学教授),三浦 まり (上智大学教授)/編、有斐閣ストゥディア、2018年7月

週末は、また孫の子守でした。
下のは、歯がまだ2本しかないくせに・・・私たちが食べているものを「オレにも よこせ!」とばかりに、怪獣のような大声をあげてアピールするの。「消化不良を起こさないかな?」と心配しつつ、メロンや西瓜、桃などを薄くスライスしてあげています。
保育園で「食事への執着が強い」と言われているそうで、さもありなん coldsweats01

月曜は休養日として・・・勉強中の本に復帰。今日、学んだことは…

◎メディアの経営体制
 日本では、多くのテレビ局が新聞社と系列関係にあるが、本来、それらは独立した報道機関であり、異なる観点からの報道が期待されている。 系列関係は、日本の特徴だったのね。

◎首長の多選
 10期目の町長がいる!? 利権に結びやすいので「3期目まで」とか、限度を設けた方がいい。  自治体に限らず、団体の会長・代表もそう。死ぬまで退かない「終身会長」は、団体の不利益。「自分しかいない」とは思わずに、「ドン」が下りれば後継者が出てくる。  
PTA会長を6年もやったという話を聞いた時、「規約で、任期を2~3年にすればいいのに」と思った。負担感の大きい職務。色々な人がやることで負担も軽減するし、共通理解が広がり、新しい視点で改革もできそう。

「フランクル『夜と霧』への旅」

Photo 河原理子 著、朝日文庫、2017/4/7

『夜と霧』(原題:一心理学者の強制収容所体験)は、1946年、ウィーンで出版された。
およそ40の言語で一千万部以上出版されているが、最初に1955年にアルゼンチン(スペイン語)で、56年に日本で、そして59年にアメリカで英語版が出て世界に広がった。

ユダヤ人が多く住んでいない日本で、なぜ二番目に翻訳版が出たのか?
それは、1953年から西ドイツに留学していた霜山徳爾(最初の翻訳者)が、偶然、本屋で見つけたことに端を発する。
彼は深い感銘を受け、ウィーンにフランクルを訪ね、帰国後に付き合いのある出版社に持ち込んだのだ。

日本で発売二か月で十二版、ベストセラーになる。
ナチスの強制収容所について知らせるために、写真と解説を加えて売られたのは、他の各国版同様、国内事情によるものだ。

フランクルは、実は母国で、特にユダヤ人から非難もされた。
「親衛隊の中にも善をなした人がいたし、収容所の中で暴力をふるったユダヤ人もいた」「個人の品格による」「悪人が善人になることも可能だ」と、集団としてのナチスを弾劾しなかったからだ。
※ナチスを悪者にして終わらせるのではなく、ホロコーストは他の国でも起こりえるという警鐘でもあろう。

そういった様々な事情やフランクルの行動、彼に教えを受けた日本人、越えがたい苦しみを抱えながら、フランクルの言葉を生きる支えとする人々と彼の人生をたどり、「それでも人生にイエスと言う」思想について、詳しく書いてある。

『檻の中のライオン』

8月2日(木)

Photo_2 楾 大樹 著、かもがわ出版 (2016/6/22)

著者の講演会が話題になっているので、買ってみました。

実に分かりやすく、たとえが面白い flair
国家を「ライオン」、憲法を「檻」、様々な動物たちを「個性の異なる私たち」に例え、 国家権力を憲法でしばり、私たちの権利や自由が脅かされないように関心をもち、監視していこう、そういう内容。子どもも読めるように、ふりがな付き。

内容は、

1 ライオンを檻にいれよう
2 檻で何を守る?
3 檻をこわされないために
4 立憲と非立憲

以下、印象に残るものを

*檻にライオンを3頭入れる・・・ライオンが檻を壊さないように、檻には性格のちがう3頭のライオンを入れ、させます互いに監視させます(三権分立)
*檻は硬く作っておこう・・・ライオンの力で壊したり広げたりできないように硬い作りにする(憲法を変えにくくする)
*檻から出たライオンは取り押さえよう・・ライオンが檻を壊して抜けだしたら、別のライオン(裁判所)が取り押さえるセキュリティーシステムがある(司法権の独立)
*檻にカーテンをつけるライオン(特定秘密保護法)

『 「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ 』

Photo 夫から回ってきたので、読んでみました。
KADOKAWA (2018/6/9)

【内容】海外の大学に留学すると分かることだが、学生は膨大な資料の読み込みを課題に出されて、日々勉強に追われている。
日本では、大学受験後、そして学校を出た後に学ばない。それは、会社が社員の実力・能力を正当に評価しないことに原因がある。
そんなことだから、世界から取り残されてしまうのだ。
経済社会の進歩についていくには、独学しかない!

「分からない言葉があったら、ネット検索しなさい!」「ホームページは自分でやる」「ブログで発信してみる」なんて、当たり前のことが書いてあって(笑)拍子抜けしましたが…
「やはり、そうか」と思う点を以下にメモしておく。

*貧しくて学校に通えず、独学で成功した偉人は大勢いる。
 例:リンカーン、ガロア、ライト兄弟・・・
*エジソンは、小学校に入学して3カ月で退学。教師ともめたって(笑)
 その後、独学で成功。彼らは、独学者だからこそ、新しい発想ができた。

*教師と学生の差は縮まっている。昔は実年齢程度だったが、今は数年前の知識ですら、古くて役に立たない。進歩の激しい分野では、2、3時間前に勉強したことを教えている場合すらある。

*『鏡の国のアリス』で、赤の女王が「あるところに留まるには、走り続けなければならない」と言う。技術進歩の加速化で、特にITによって、今の世の中は、実際にそのようになった。

*大学で学ぶことの効用は、人的交流。情報の交換は新しいビジネスを立ち上げる時に重要。…そういう観点ねsweat01

*何が重要かを示さない教師は、無能。独学では、それを見出すのが大きな問題。

*基礎から一歩一歩でなく、できるだけ早く山頂に昇る。高いところから全体を把握すれば、個々の部分がどのように関連しているか、何が重要かが分かる。

『もう一度、子供を叱れない大人たちへ』

Photo_2 実務教育出版 (2015/9/9)
保護司のイベントで、講師をしていただいた落語家さんの著書。

少年院のことがよく分かる、ガイド flair
(もとはと言えば、家庭に原因があるのに)親に見放され、少年院の法務教官(教員免許あり)の励ましで大学進学を果たした例、毎月面会にくる教師に心を打たれて更生したなど、ノンフィクションだけに説得力がある。

親や教師への苦言もしっかり書いてある。
子どもにはたっぷりの愛情と「大事にされている」という確信が不可欠だと、しみじみ思わせる一冊。

※著者は、63年、法務省・久里浜少年院長より少年院篤志面接委員の委嘱を受け、長きにわたりボランティアで全国各地の少年院、刑務所、拘置所の慰問活動を続けている。また平成27年、法務省より矯正支援官の委嘱を受ける。

『はじまりは愛着から』

Photo 福音館書店、 2017年9月

生活クラブの書籍カタログで興味を惹かれ、購入。まとめるのが面倒で、しばらく放置してあった coldsweats01

高校時代、切れ目なくカレシがいる同級生がいた。保護司をしていて、性体験も出産も早い子が身近にいる。
自分とは明らかに違う彼女らのことを明確な言葉で説明できないでいたが、少し前に「愛着障害」「安定した愛着」という言葉に納得した。

この本では、著者の長年の豊富な経験により、それがいかに大事かが言葉で具体的に示されていて、「なるほど」しきり。これで、誰かに説明できるかも wink

例えば…
母性と父性は量でなく、順序が大事。
子どもが欲しがるだけの愛情を受け取ってからでないと、躾的な育児はできない。保育園で手を焼く子は、そこ。
非行少年少女の家庭に母性性が欠落し、厳しい父親がいる事例が多い。 無差別殺人犯が厳しい母親のもとで育ったとも、よく聞く。
親の望み通りに動く「いい子」に育てるのは、子ども本位ではなく、親の自己愛が勝っているから。絶対的な親の愛情が得られず、親の評価に左右される存在という不安定さから、彼らの自己評価が低く、残虐性をもつことが多い。

あと…
夫婦間のコミュニケーション、祖父母などの親戚、親が信頼する地域の人や友人とのやり取り。それらを間近に見て、子どもは人間関係を学んでいく。不登校など人間関係の不適応は、家族のスタイルに依るところが大きい。

いじめっ子もその親も病んでいる。自尊心を失い、劣等感に苦しんでいる。依存症の人たちも、その原因は養育過程で最初に必要な愛情を必要なだけ受け取れなかったこと。

より以前の記事一覧

2018年12月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ