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『戦争は女の顔をしていない』

4月6日(水) sun

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スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 著、三浦 みどり 訳 岩波書店 (2016/2/17)

絶版になっていて、超高価な古本しか市場になかったのをノーベル賞受賞を機に、岩波が文庫化。

【内容】ソ連では、第二次世界大戦で100万人をこえる女性が従軍し、看護婦や軍医としてのみならず兵士として武器を手にして戦った。女性兵士が戦争で兵士として前線で戦闘に携わったのは、ソ連だけだ。
しかし戦後は「もはや清純ではない」と、侮辱と中傷に晒され、自らの戦争体験を隠さざるを得なかった。
著者は500人以上の従軍女性から聞き取りを行い、戦争の真実を明らかにした。

◎聞きとりの対象は、パルチザン部隊、 非合法の抵抗運動や飛行士、看護婦、医者、歩兵大隊、衛生指導員、狙撃兵、戦車兵など、あらゆる前線参加 した女性。一人取材すると別の誰かを紹介され国中から手紙が舞い込んだ。

◎従軍女性は15~30歳で出征。国のためにと何年も戦場で過酷な経験をして帰還すると、同性から「人の亭主を寝取ったんだろ」「戦地のあばずれ戦争の雌犬め」と罵倒された。障碍児を産んで、「まともな女なら戦争なんか行かない。だからまともな赤ん坊を埋めないんだ」と夫から言われた話、「妹たちの結婚に差し支える」と母親から家を追い出された話には、胸が痛んだ weep

◎兵士たちがドイツ人女性(少女も含めて)輪姦した事実も語られている。下半身が血だらけだったという話をしながら「録音しないで…テープを止めて」と言う。

◎捕虜になった兵士や拷問を生き抜いたパルチザンは「なぜ、自殺しなかったのか。どうして戻って来られたのか?」と、忠誠心を疑われて、何人も強制収容所送りにされた。
戦前、教師だった女性兵士は、夫が捕虜だったという理由で「人民の敵」となり、学校の用務員にも採用されず、建築現場で煉瓦を運んで生きた。

◎兵士たちが苦戦した背景も語られる。赤軍大粛清(1937~1938)・・・スターリンは自分の人脈でない軍高官を次々に殺し、8割。 この悲劇は単に赤軍の弱体化を招いたという。

◎ドイツに入って、その豊かな暮らしぶりを見た兵士たちは、仰天した。一党独裁の教育は、都合のよいことだけを子ども達に吹き込んでいたのだと知ることになる。
そして、「こんなに豊かな生活をしていて、何が不満で戦争を始めたのだろう?」とも。

◎出版までの苦労も語られている。出版まで2年かかり、検閲で削除もされた。国は、勝利した事実のみを掲げたいのだ。

※分厚い本で、正直言って、読むのに何日もかかった。詳細は違うが…似たような話も多くて、ウンザリしてくるのだ。最近読んだ『ひとりの記憶 海の向こうの戦争』のように、厳選したエピソードを紹介する方が、私は好きだ coldsweats01

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コメント

kakipiさん、
重い内容ですが・・・事実を知ることができたので、私は読んで良かったですflair ノンフィクションは、やはりいいshine
「帰還兵の1/4はPTSDになって、放っておくと自殺する」と聞きましたが、この本を読むと…男女の別なくそうだと分かります。

この本の中で、医者が「結婚して子どもをつくれ」とすすめます。結婚して出産するなど、自分の命について考える暇がない程忙しい、或いは自分よりも大事にしたい命が目の前にあれば、何とか生活していける。そういうことかな。

ここなっつさんの紹介した本、わたしも読みたいと思っていたんですが重い内容だったんですね…。おすすめの『ひとりの記憶』のほうが読めそうです。(昔、橋口さんがドイツの動物園で撮ったモノクロ写真集、好きです)わたしも最近『帰還兵はなぜ自殺するのか』と『生きて帰ってきた男』を読みました。いさましいことばっかいっているヒトたちにも こうした実情と訴えに耳を傾けてほしいです。

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