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『共依存 ~ からめとる愛 ~』

12月7日(月) sun

Photo信田さよ子 著、朝日新聞出版 (2009/5/7)

臨床心理士である著者の経験談が面白いし、それを基にした考察に 説得力がある。 韓流ブームの当事者でありながら、冷静に 人気ドラマを分析しているのも、偉い

ただ、経験談や韓流ドラマ・邦画作品を例にした「読み解き」は楽しく読めるが、こうやって本の内容をまとめようと考えながら読んでいくと、辛い coldsweats02  最後まで読まないと 結論が見えないからだ。

以下、いつものように「私のなるほど」を列記(注:私の言葉による要約も含まれている)

*(アルコール依存症の男性の)妻にとって、耐えることは 勲章であり、それを不幸などと思わないことが「幸せの秘訣」なのだ。 口答えなどして DVを広げないように、夫の習性を前提にして 家族が息をひそめて やり過ごす。 妻の楽しみは「子どもたちが夫への不満をすべて聞いてくれること」、そして「夫を自分と同じまなざしで深く軽蔑すること」である。

*「あのひとは、私がいないと生きていけないんです」 ― この言葉は、アルコール依存症の妻たちから いつも聞かされてきたものだ。 それは疑う余地のない確信、夫の命を担保にした 自信

*日本で人気の韓国映画を例にとり、病気や依存症の妻を介護する男性の場合を考察 ― 男性が 妻の介護のために 仕事を犠牲にして手記を出版すると、「男性ですらこうなのだから、女である妻が介護して当然」という、女性に対する ケア強制の圧力が 男性女性の両方から かかる。 依存症の場合、その原因が夫にある場合にもかかわらず、だ。 ケアする夫は、妻と比して自分の方がエネルギーが高いことを確信し、支配できることが 自信となる

*『冬ソナ』では、男 2人が ユジンを巡って争うが、それは「僕の方が魅力的」「地位やお金がある」と言うのではなく、「どちらが ユジンを幸せにできるか」についてだ ― この場合、ヒロインが 主体的に自分で選べない女性 であることが前提となっている。 重要な局面で相手の要求を拒めず、結果的に多くの人を傷つける。 そのことで自分を責め、涙する。

*児童虐待防止法にもあるように、「子どもがDVを目撃することは、虐待である」 ― DVを目撃したりさらされることによる影響は、深刻。

*摂食障害の女性たちが語る言葉に「母がかわいそうで」「母を放っておいて幸せになれない」など、親が 子どもに庇護される存在として 巧妙に関係を変えている場合がある。 『男はつらいよ』第45話 ― 後藤久美子演じる は、恋人よりも母親を選ぶ。 母は自分を弱者の位置に置くことで 娘からケアされ、娘は 母親思いの犠牲的行為という美名を 得る。

*かわいそうな他者をわざわざ選ぶ人、障碍をもった他者に近づく人は、ヒューマニズムに溢れ、自己犠牲的に見えるが、「かけがえのない存在」として 支配関係になれば、それは「共依存」となる。 それらは 無自覚な善意の押し付け自己犠牲にみせかけた対象支配の快楽。 『ジョゼと虎と魚たち』で、ジョゼと別れた(妻夫木くんが演じる)恒夫は、「共依存」から最も遠い関係を選んだのだ。

*DV被害者に「共依存」という言葉を使うのは、問題がある。 DVは、殴る夫自身に問題がある。 彼らは「暴力をふるわせるのは、妻の責任である」と考えているが、逃げられない妻に責任がある訳ではない。 妻は「自分のせいで 夫を殴らせてしまった」などという 罪悪感 ― 加害者意識(世間を支配している男性本位な常識) ― を もつことはない。 ただ、彼女らは、夫をケアし支配する快感や 夫を「子ども扱いする」ことで 所有欲を満たしている。

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